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SDGsが教育界へ
与える影響

学習指導要領や入試問題の変化について解説

SDGsの目標達成に向けて国や企業がさまざまな取り組みを行っていますが、教育界でも同様に取り組みが行われています。具体的には、学習指導要領が改訂されたり、入試問題にSDGsが出題されたりしています。

SDGsと学校教育の関係がイメージできなかったり、教員として実際にどのようなアクションを起こせばいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。

そこで今回の記事では、学校の先生に向けてSDGsと学校教育の関係について解説します。SDGsの基本的な情報から新学習指導要領改訂に影響を与えたESD教育、SDGsを授業に取り入れられる教材などについてくわしくお伝えします。

今回の記事はこんな人におすすめの内容です

  • SDGsと教育がどのように関わっているのかわからない
  • 学習指導要領や入試問題の変化によりSDGsについて知る必要がでてきた
  • SDGsの目標達成のために教員ができることを知りたい
  • 学習指導要領や入試問題の変化によりSDGsについて知る必要がでてきた

新学習指導要領とは

2020年度に小学校、2021年度に中学校、そして2022年度には高等学校の学習指導要領が改訂されています。ここでは新学習指導要領の基本的な情報と知っておくべきポイントについて解説します。

新学習指導要領の基本的な情報

学習指導要領とは、生徒がどこの学校にいても同水準の教育を受けられるように、各学校が教育課程(カリキュラム)を編成する際に基準とするものです。

文部科学省によって定められており、学校の授業内容や時間割はこの学習指導要領に基づいて編成されています。時代の変化や社会情勢などを踏まえ、10年に1回の頻度で改訂されています。

近年、グローバル化や人工知能の発達、ビックデータの活用など複雑で急速な社会変化はとどまるところを知りません。このような状況において、子どもたちは時代の波に飲まれず、むしろこの変化を前向きに捉えていくことが求められます。

社会の変化に柔軟に対応し、これからの予測困難な世界を生き抜くために必要な資質・能力を備えた子どもたちを育むため今回の改訂は行われました。

新学習指導要領で育む3つの資質・能力

新学習指導要領には、教育課程や各教科での学びを通して生徒に身につけて欲しい資質・能力が設定されています。それらは「知識及び技能」「思考力・判断力・表現力など」「学びに向かう力、人間性など」からなる3つの柱に基づいています。 

 「知識及び技能」とは、学校での学びを通して得た個々の知識だけではありません。それら個々の知識と既存の知識を関連づけて体系的に理解し、生きていく上で必要な知識となるものも含みます。

それらの「知識及び技能」を予測困難な時代において活用するための「思考力・判断力・表現力など」、学んだ知識や技能をこれから先の人生や社会に向けることのできる「学びに向かう力、人間性など」 の3つの柱からなる「資質・能力」を包括的に育んでいくことが新学習指導要領では示されています。

以前とは異なる新学習指導要領の3つの特徴

1. 「社会に開かれた教育課程」への変化

「社会に開かれた教育課程」とは、新学習指導要領の基本的な理念です。文部科学省では、3つの資質・能力を育む上で「社会に開かれた教育課程」の実現を目指しています。

変化が激しく予測困難な現代では、子どもたち自身が自分の力で人生や社会をよりよくできるということを実感することが重要です。この実感は、学校と地域社会の双方での学びを通して得ることができます。

そのために「よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創る」という目標を学校と社会が共有し、連携・協働した教育活動を行うことが求められます。

2. 教育理念の変化

学習指導要領を支える理念をより明確に示すために、新学習指導要領には前文が設定されています。実は学習指導要領に前文が設けられるのは初めてのことです。

前文には「持続可能な社会の創り手」や「社会に開かれた教育課程」などSDGsやESD(持続可能な社会の創り手を育む教育)に関係するキーワードが登場しています。教育を通して生徒一人ひとりの資質や能力を伸ばすことだけでなく、他者と協働しながらよりよい社会を創ることが強調されるようになっています。

3. 「持続可能性」というキーワードの登場

新学習指導要領には前文や総則に限らず「持続可能」という言葉が多く登場しています。社会や理科、技術・家庭など各教科の指導要領内にも持続可能というキーワードが見られ、中学校学習指導要領で24個、高等学校学習指導要領で77個が確認できました。

以前の学習指導要領(2008年・2009年改定版)では、中学校学習指導要領で4個、高等学校学習指導要領で17個だったため、新学習指導要領では「持続可能」が強く意識されていると推測できます。

その変化に伴い教科書にも関連する情報が加わっています。教科書内で持続可能という言葉が増えたことで、コラムや口絵にSDGsや社会問題に関する話題が登場するようになりました。

持続可能性を掲げる新学習指導要領はSDGsとの関連性が高い

SDGsの基本的な情報

SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された、環境・社会・経済に関する国際目標です。「誰一人取り残さない(leave no one behind)」をスローガンに掲げ、17の目標と169のターゲットで構成されています。

災害の頻発や新型コロナウイルスの流行により学校ではオンライン授業の実施や行事の中止などを余儀なくされました。災害の頻発や感染症の拡大はSDGsで設定されている目標と無関係ではありません。昨今の学校現場の変化はSDGsの目標の内容と深い関わりがあります。

SDGsの基本的な情報をさらに知りたい方は、以下の記事も合わせてご覧ください。

https://sdgs.media/about/

ESD教育とSDGsの関係

ESDとはEducation for Sustainable Developmentの略称で、「持続可能な社会の担い手を育む教育」を意味します。

人類が将来の世代にわたり豊かに暮らすことのできる社会を創るためにSDGsは設定されましたが、その社会を創る担い手を育むことがESD教育の目的です。

2002年に日本の提案により「ESDの10年」に関する記載が世界首脳会議実施計画に盛り込まれ、以後ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)が中心となり世界中でESD教育が行われています。

SDGsの目標4は教育に関するもので、そのターゲット4.7にESDが位置付けられています。

SDGsターゲット4.7

2030年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能なライフスタイル、人権、男女の平等、平和及び非暴力的文化の推進、グローバル・シチズンシップ、文化多様 性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育を通して、全ての学習者が、持続可 能な開発を促進するために必要な知識及び技能を習得できるようにする。

ESD教育を推進して持続可能な社会を創る担い手を育むことが、SDGsの達成へと繋がっていきます。

現代的な課題に対して新学習指導要領が必要だと定める資質と能力

社会に存在する、将来発生する課題は横断的かつ複雑であると考えられています。

たとえば気候変動による豪雨や干ばつなどの異常気象は、食糧不足や生物の絶滅・感染症の増加などの原因になり得ます。国境を超えて多くの国に影響を及ぼす課題が新たな課題の発生原因になっているため、1カ国や個人単位ではなく、多国間で連携して取り組む必要があります。

新学習指導要領はこのような社会情勢や急激な時代の変化に鑑み、子どもたちに新たな力を身につけることを求めています。

子どもたちが身につけるべき新たな力とは、自ら課題を発見し、学び、考え、判断・行動し、これからの社会や人生を切り拓いていく力のことです。

学習指導要領ではこれからの社会を生きる子どもたちに必要な資質・能力を見据えた改訂が行われているのです。

次に、文部科学省が育成すべき資質・能力として定めている3つの要素を紹介します。

1. 個別の知識・技能

個別の知識・技能とは、各教科を通じて得られる個別の知識・技能のことです。技能には身体的技能や芸術表現のための技能も含まれます。

ただ新たな知識や技能を学ぶだけではなく、それらと既存の知識・技能を体系化し、社会のさまざまな場面で活用できる汎用性のある知識・技能として身につけることがポイントです。

2. 思考力・判断力・表現力など

問題を見つけ、その解決方法を模索し、計画を立て、実行に移し、次回のための振り返りまでの一連の流れを指す「問題発見・解決」や、対話や議論を通して他者の意見を取り入れ、他者と協働する「協働的課題解決」のために必要な思考力・判断力・表現力を身につけることが求められます。

特に問題発見・解決のプロセスにおいては、情報の取捨選択を行える判断力・伝える相手や状況に合わせて臨機応変に対応できる表現力などが重要です。

3. 学びに向かう力、人間性など

学びに向かう力、人間性とは、主体的に学ぶ力、自分自身の感情や行動をコントロールする能力と思考の流れを俯瞰的に捉える力などを含むメタ認知力や、持続可能な社会を創るという共通の目標に向かって多様な他者と協働する中で生まれ得るリーダーシップや思いやりの精神などを指します。

複雑な変化に対応できる力も必要

これまで挙げてきたように、現代社会は変化が激しくかつ複雑で予測困難な時代だといわれています。

そのような社会を生き抜くためには、あらゆる情報や出来事を自分ごととして受け止め、社会の中で生きる自分の姿を具体的に想像し、多様な個性を持つ他者とともに課題を解決する力、すなわち複雑な変化に対応する力も必要です。

これから求められる資質・能力を育むおすすめの教材を紹介

記事の最後に、SDGsの各目標と関連する社会課題の知識を学び、思考力や表現力を養うための題材に使用できる教材「iina(いいな)」を紹介します。

学校の先生が1時間程度の準備でSDGsを授業できる教材「iina」について紹介します。

iinaとは、指導案・スライド教材・ワークシートの3点セットからなる、学校の先生がSDGsについて授業するための教材です。問いから始まるスライドや、テーマを自由に設定できるワークシートなどこれから求められる資質・能力を育むためにさまざまな工夫が施されています。

各目標ごとに教材が用意されているため、SDGsについてあまり知らない先生でも、1時間程度の準備で授業が行えます。また、iinaの教材をSDGsの授業として活用するだけではなく、他の教科の授業内で関連する一部を抜粋して取り上げることもできます。

まとめ

2020年度から小学校・中学校・高校と順次改定されている新学習指導要領では、これからの社会を担う子どもたちが身につけるべき力について具体的に示され、それに伴い教科書や入試問題が変化しています。

繰り返しになりますが、SDGs達成のためには教育を欠かすことはできません。教育はSDGsの目標の1つであるとともにSDGs達成のための土台でもあります。まずは、SDGsについて知ること、そして自身だけでできるアクション、所属する組織や地域単位でできるアクションを考えてみてはいかがでしょうか。

参考サイト